頭部の骨折について
頭部の骨折は、外部からの強い衝撃や圧力によって頭蓋骨が損傷する状態を意味します。このページでは、頭部の骨折について、種類、発生機序、症状、合併症、治療について詳しく説明します。
頭部骨折
頭部の骨折は、その形態や発生場所によって以下のように分類されます。

- 線状骨折
 骨が一本の線状に割れる比較的軽い骨折です。頭蓋内圧の上昇が少なく、通常は特別な治療を必要としない場合があります。
- 陥没骨折
 骨が内側に突っ込んで骨折で、脳組織への直接的な圧迫が起こる可能性があります。交通事故や暴行などの高エネルギー外傷で発生しやすいです。
- 開放性骨折
 頭蓋骨が外部に露出している骨折で、感染のリスクが高いです。 脳外傷を伴うことが多く、非常に危険な状態です。
- 基底骨骨折
 頭蓋骨の底部にある骨(前頭蓋底、中頭蓋底、後頭蓋底)の骨折です。視神経や嗅神経などの脳神経損傷や、髄液漏出が生じる可能性があります。
- 顔面頭蓋骨骨折
 顔面の骨(鼻骨、頬骨、上顎骨など)に広範囲骨折で、外見の変形や視覚、嗅覚、嚥下機能の障害が起こります。
頭部骨折の原因
頭部骨折は、主に以下のような外力によって与えられます。
- 転倒や転落
 高齢者や歩行者では、軽微な転倒でも骨折が起こる場合があります。
- 交通事故
 歩行者、自転車、または車両の運転中の事故での頭部への衝撃が原因となることが多いです。
- スポーツ外傷
 競技(ラグビー、サッカーなど)や高リスクの運動(スキー、スノーボード)での頭部衝突。
- 暴行や器具による衝撃
 鈍器や鋭利な器具による衝撃も重篤な骨折を招きます。
頭部骨折の症状
頭部骨折の症状は、骨折の種類や損傷の程度に応じて異なります。以下は主な症状です。
- 局所症状
 頭痛
 頭皮の腫れや変形
 出血(頭皮や耳、鼻など)
- 全身症状
 意識障害(軽度の混乱から昏睡状態まで)
 吐き気や嘔吐
 めまい
- 特有の症状(基底骨骨折の場合)
 「ラクーンアイまたはアライグマの眼サイン」(目の周囲があざになる)
 鼻や耳からの透明な液体(髄液漏出)
 聴覚、視覚、嗅覚の異常
頭部骨折の合併症
頭部骨折は、適切な治療を受けなければ重篤な混乱症を考えると骨折の可能性があります。

- 感染症
 髄膜炎や脳膿菌が発生するリスクがあります。特に開放性骨折では感染が想定されます。
- 頭蓋内損傷
 脳挫傷、硬膜外血腫、硬膜下血腫を伴う場合、生命の危険が懸念されます。
- 神経障害
 視覚、聴覚、嗅覚などの機能障害や顔面神経麻痺が起こることがあります。
- 髄液漏
 基底骨骨折では、髄液が漏れ出し、感染症や脳圧の異常を生じることがございます。
頭部骨折の治療法
頭部骨折の治療は、骨折の種類や疲労度、合併症の有無によって異なります。
- 保存療法
 軽度の線状骨折では、入院による観察と安静が基本です。痛みを瞬間的に鎮痛剤が処方されることがあります。
- 手術療法
 以下の場合に外科的介入が必要です。陥没骨折で脳組織が圧迫されている場合 
 髄液漏が続く場合
 感染のリスクが高い開放性骨折
 血腫や頭蓋内損傷を伴う場合手術には、骨折部分の整復、金属プレートやスクリューの使用、感染予防のためのデブリードマン(壊死組織の除去)などが含まれます。 
- リハビリテーション
 神経機能の回復を目指すため、リハビリテーションが必要となる場合があります。理学療法、作業療法、言語療法などが含まれます。
頭部骨折のアフターケアと注意点
頭部骨折の予後は、受傷時の迅速な処置と治療の質によって大きく左右されます。 軽度の骨折では完全に回復するケースが多いですが、重度の骨折や頭蓋内損傷がある場合、後遺症が残る可能性があります。
- ヘルメット着用:スポーツやバイク運転時に頭を守ることでリスクを軽減できます。
- 初期頭痛:転倒や衝撃後に、意識障害、出血などの症状が見られた場合は、来院してください。
頭部の骨折は、日常生活の中で予防可能な場合が多く、正しい知識と対策が重要です。では、骨折後のリハビリや日常生活のアドバイスも含めて、患者様の健康回復を全力でサポートいたします。お気軽にご相談ください。


