患者様の基本情報
- 年齢:30代男性
- 主訴:前頭部の頭痛
- 症状の特徴:
- 頭痛はひどいときで週3回程度発生し、集中力の低下や日常生活への支障を感じていた。
- デスクワーク中やスマートフォンの長時間使用後に症状が悪化する傾向がある。
- 痛みがひどい場合には、市販の鎮痛剤を服用していたが、効果が不安定であった。
- 日常生活:長時間のデスクワークが多く、姿勢が悪くなることが多いと自覚。慢性的な肩こりや首のだるさも併発していた。
初診時の状態
- 痛みの部位と性質:
- 前頭部に鈍い痛みが継続的に出現。痛みがひどいときにはズキズキとした拍動性の痛みが見られた。
- 目の奥にかけて圧迫感があり、症状が悪化すると頭が重く感じると訴えた。
- 姿勢評価:
- 骨盤の後傾と猫背姿勢が顕著で、頚椎が前方に突出したストレートネックの状態が確認された。
- 長時間の不良姿勢により、頚部から肩周囲の筋肉に負担がかかっている様子。
- 筋緊張:
- 頚部周囲筋(特に胸鎖乳突筋、頭板状筋)の過緊張が著しく、肩甲挙筋や僧帽筋上部にも強い緊張がみられた。
- 筋緊張が慢性的に続いているため、触診では圧痛を訴える箇所が多かった。
- 可動域制限:
- 頚部の前屈・後屈動作に軽い制限があり、左右回旋時にも違和感を感じるとのこと。
原因の考察
患者様の症状は、長時間のデスクワークや不良姿勢により頚部や肩周囲の筋肉に過剰な負担がかかったことが主な原因と考えられました。
特に、胸鎖乳突筋や頭板状筋の過緊張が、前頭部への放散痛を引き起こしている可能性が高いと推察されました。
また、猫背姿勢とストレートネックにより頭部の位置が前方にシフトしており、これがさらに筋緊張を助長している状態でした。
施術計画
- 短期目標(1~4週間):
- 頭痛の頻度を週1回以下に減少させることを目標とする。
- 頚部・肩部の筋緊張を緩和し、血流を改善する。
- 中期目標(4~8週間):
- 姿勢を改善し、首や肩への負担を軽減する。
- 頚部や肩周囲の筋力を安定化させ、症状の再発を防ぐ。
- 長期目標(8週目以降):
- 長時間のデスクワークでも症状が発生しない状態を目指す。
- 良好な姿勢を維持できる筋力と柔軟性を確立する。
施術内容
- 鍼施術:
- 頭痛の原因と考えられる胸鎖乳突筋、頭板状筋、僧帽筋上部に鍼治療を実施。
- 痛みが強い箇所に対し、刺入後に低周波電気刺激を併用し、筋緊張を緩和するとともに血流促進を図った。
- 鍼施術は症状の強弱に応じて週2回の頻度で行った。
- 徒手療法:
- 頚部周囲の筋緊張を直接緩和するため、筋膜リリースを中心に施術を実施。特に胸鎖乳突筋と肩甲挙筋を重点的にほぐした。
- 関節モビリゼーションを用い、頚椎の動きを滑らかにすることで可動域を改善した。
- 姿勢改善:
- デスクワーク時の姿勢指導を実施。座り方やモニターの位置、肘の角度を調整するようアドバイスした。
- 胸椎の伸展運動を取り入れたエクササイズを指導。猫背姿勢を改善し、頭部の位置を正常に保つためのアプローチを行った。
- ストレッチ指導:
- 胸鎖乳突筋や頭板状筋、僧帽筋をターゲットにした簡単なストレッチを指導。日常的にセルフケアとして行えるよう、無理のない範囲で指導を継続。
経過と結果
第1~2週目:施術開始後、頭痛の頻度が徐々に減少し、痛みの強度も軽減。特に、施術直後は肩や首の軽さを実感しているとのこと。
第3~4週目:デスクワーク中の痛みが改善され、仕事への集中力が戻る。週3回発生していた頭痛が、週1回以下に減少。
姿勢指導を日常生活に取り入れる努力が見られた。
第5~8週目:頭痛がほとんど発生しなくなり、肩こりの症状も大幅に軽減。頚部の可動域が改善し、左右回旋や前屈での違和感がなくなった。
患者様は「長時間座っていても首や頭が疲れにくくなった」と話していた。
考察
本症例では、不良姿勢と筋緊張の慢性化が主な頭痛の原因でした。鍼施術と徒手療法を組み合わせたアプローチにより、短期間で症状が軽減し、患者様の生活の質が向上しました。
また、姿勢改善の指導が効果的に働き、症状の再発を防ぐ基盤を築くことができました。
まとめ
本症例では、鍼施術と姿勢改善を中心としたアプローチにより、短期間で頭痛の頻度や強度が大幅に改善しました。
特に、姿勢改善による再発予防の効果が高く、患者様自身もセルフケアに積極的に取り組むことで、生活の質が向上しました。やいま整骨院では、頭痛を含む幅広い症状に対して、個別に最適な施術をご提供しています。
この症例報告は患者様の許可を得て掲載しております。