事例報告: ランニング中に下腿に痛みが発生した高校生の事例
患者様の基本情報
- 年齢:10代(高校生)
- 性別:男性
- スポーツ活動:陸上競技部に所属し、長距離の練習に取り組みます。
1日の練習時間は約2~3時間です。
主訴
- ランニング中、特にスピードを上げる場面で右下腿に激しい痛みが走ります。
- 痛みは練習後にひどいし、安静時でも鈍痛を感じることがある。
- 症状が出始めてから数週間経過しており、練習を続けると痛みが強いため、競技に集中できないという。
受傷の経緯と背景
患者様は、数週間前から右下腿(すね)に痛みを感じるようになり、次第にランニング時のパフォーマンスに影響が出てきたと説明しました。
また、最近の練習量が増加したことや、舗装路での走行が増加したことが痛みの原因ではないかと患者様自身も感じておりました。
初診時の状態
痛みの部位と症状
- 痛みの部位は右下前脚、特に脛骨の内側縁に集中しています。
- 触診では、脛骨内側縁に沿った圧痛が確認され、腫れや熱感は見られなかったが、軽さの固い硬結が認められました。
- 後の痛みが増加する傾向があり、ランニング後には歩行にも異常痛をきたす状態。
可動域と筋力
- 足関節の可動域は正常の範囲内です。
- 背屈時に痛みが誘発されるが、その他の動作での痛みはありません。
- 下腿三頭筋やヒラメ筋に筋緊張が見られ、足底筋膜にも軽いを緊張をしています。
動作確認
- ランニングフォームを再現してもらったところ、着地時に右足に過剰な負担がかかっていることが確認されました。 特に、足首の回内(過回内)が強く、着地時の衝撃が下腿に集中しいる様子が見られた。
- ジャンプテストでは、痛みが脛骨内側で強くなります。
病気
- シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)
– シンスプリントは、ランニングやジャンプ動作による繰り返し的な負荷が原因で発生することが多い疾患です。脛骨の内側に過剰なストレスをかけ、骨膜炎を起こしている可能性が高いと考えられます。 - 疲労
– シンスプリントが進行すると、脛骨の疲労骨折を考える場合があります。 触診での圧痛が強い場合や痛みが持続する場合には、初期に画像診断を行う、疲労骨折をすることは否定的必要があります。 - コンパートメント症候群(慢性外部コンパートメント症候群)
– 筋肉の使いすぎによるコンパートメント内の血圧上昇が原因で、ランニング中に下腿に痛みや張り感を感じる疾患です。 この疾患の可能性も考慮しました。
施術計画
- 短期目標(1~4週間)
– 痛みの軽減と筋緊張の緩和を決意。
– 適切な休息を確保し、運動量を調整する。 - 中期目標(4~8週間)
– ランニングフォームの改善を行い、過剰な負担を軽減する。
– 筋力バランスを整え、再発防止を心がける。 - 長期目標(8週間目以降)
– 競技への復帰を目指し、正しいトレーニングを段階的に再開する。
– 足部や下腿の筋力を強化し、衝撃吸収能力を向上させる。
施術内容
- 徒手療法
– 下腿前面や足底筋膜に対する筋膜リリースを実施。 特に、脛骨内側縁にかかる負担を軽減するため、下三頭筋の緊張を緩和しました。 – 足首の
可動域を改善するため、軽度のモビリティを行いました。 - アイシングと休息
– 運動後にアイシングを行い、反応を抑制します。 安静を選択しながら、練習量を一時的に減らしました。 - テーピングとインソールの活用
– 足部の過回内を制御するため、アーチサポートを目的としたインソールを提案しました。 - リハビリテーション
– ランニングフォーム改善のため、体幹トレーニングと足部の筋力強化を段階的に実施。ヒラメ筋や腓腹筋の柔軟性を高めるストレッチも指導しました。
経過と結果
- 1~2週間目:初回の施術後、ランニング時の痛みが軽減し、日常生活での違和感が軽減されました。練習量を制限し、患者部への負担を極力抑えました。
- 3~4週目:インソールとテーピングの効果により、ランニング時の足部の安定性が向上。フォーム修正を継続し、着地時の衝撃が軽減されました。
- 5~8週目:痛みはほとんどなくなり、通常の練習量に徐々に戻りました。正しいランニングフォームを習得し、再発予防のためのセルフケアを継続していただきました。
考察
この事例では、シンスプリントの可能性が高いと考えられました。過剰な練習量やそれなりなランニングフォーム、硬い路面での走行が主な原因です。徒手療法や休息に加え、インソールやフォーム修正また、患者様ご自身がセルフケアやストレッチを積極的に取り入れたことも、初期改善に大きく取り組みました。
まとめ
今回の症例では、正しい施術とトレーニングを行うことで、ランニング中の痛みを解消し、競技への復帰が可能となりました。同じような症状でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談くださいください。